8月8日(月)

 

 Su助教授は日本の学会に参加しにいった.一方,私のオフィスの鍵はいまだにできていないので,これからの1,2週間は,Su助教授のオフィスを間借りして仕事することになった.仕事人間のせいか,一週間も本業から離れてしまうと,何となく落ち着かなかった.午前中は少し仕事をした.

 

 今日は諸手続の最後の仕事に臨んだ.

 

昼食の後,娘の小学校入学のために,English Montreal School Board(EMSB) に赴いた.インターネットで地図とアクセス方法を日本で印刷して持ってよかった.というのはここ数週間,EMSBのホームページはずっとrenew中のままであった.地下鉄駅の出口から上がると,強烈な日差しに晒された街に出た.目の前に51番のバス停があったが,バス停の看板を見て唖然した.バスの番号だけがあって,バス経路やバス停名などは書いてなかったのだ.途方に暮れて周囲を見回すと,後ろに50歳前後の東洋系の女性が立っていた.そこで英語でFielding 6000番に行きたいけど,どうすればよいのかと聞いた.「中国語でいいよ」と答えてから,自分も同じ方向であるので,一緒に乗ろうといった.互いに母国から来た同胞だと思われたせいか,世間話が弾んだ.

 「ここに移民してきてがっかりしたのよ.国ではわたしもちゃんとした学歴があって,デスクワークをしていたのに,こちらに来てから,つまらない仕事ばかりをしている.ところで,あなたは何しに来たのか」.

 「私は一年の訪問研究員で,終わったら戻る」.

 「国でいい仕事があったらいいね.移民しなくてもいいもの」. 

お子さんはカナダが好きなのかと聞いたら,彼女はやっと笑顔を見せて,「こちらの教育システムは大変良い.福祉も良い.母国ほど受験戦争が厳しくないので,子供はカナダが大好きだ.移民の子供はほとんど大学に進学できるので,心配はしていない.本当は子供のためにカナダに来た,バイリンガル教育のためにここモントリオールに来た,校区がいいからここFieldingに住むようにした」といった.

「お子さんは大学に進み,いい仕事が見つかったら,親も幸せになるよ」と励ましてやった.彼女のお子さんに是非親の苦心を分かって欲しい!

 

EMSBの女性係員に,娘のパスポート(就学ビザが書いてある),戸籍謄本の英訳と50ドルを出すと,「perfect!」と言われた.そして,領収書と市内の英語小学校一覧表を渡され,「finished! Bye!」になった.それで終わったの?何とも釈然しない気持ちだった.そこで,どこの小学校に,いつ行けばいいの,school bus はどうやって申し込めばいいのとしつこく聞いたら,別の部屋に聞けと言われた.そのとき,急に便意に襲われ,トイレに駆け込んだ.幸いなことに下痢ではなく,単なる緊張による神経症のようだった.

 

用を足して,いわれた部屋に行ってみると,親切なマダムで応じてくれた.そこで,私は一週間前に来たnewcomer で,こちら事情は何も分からないので詳しく説明して欲しい,ついでにおたくらのホームページはここ数週間ずっと Do not work だよと言った.そしていくつかの小学校の地図を見せて,これは日本で印刷して持ってきたよと付け加えた.マダムは,「Great!」と言い,「Atwaterに住んでいるなら,そこのvery nice school がお勧めだ.8月15日に人がいるから,電話をしていけばよい.school bus pass なら,心配しなくてもいい,EMSBのほうで用意するから」と言い,安心させてくれた.

 

実は,ケベック州に渡航するために一番苦労したのは,就学児の手続きであった.大変な労力を費やして,ここEMSBに漕ぎ着けたのである.以下,その体験談をご覧になってください.

 

 

アドバイス:

就学児のためのCAQと就学許可の取得,および学校入学までの手続きと準備について